これは、読むだけで大丈夫な回です。画面に出てくる、意味の分からない言葉やボタンの話をします。
知らない言葉が、次々に出てくる
つい先日のことです。AIと一緒に、毎朝の見回りの仕組みを手入れしていました。
その日、画面に出てきたものを、そのまま並べます。「Grep(グレップ)」という言葉。「+2 -1」という緑と赤の数字。「PR作成」というボタン。許可を求める、確認の窓。
私は、そのたびに手が止まりました。「これは何?」「何かしてしまった?」「このボタン、押せばよかったの?」——どれも、その日、私が実際にAIに聞いた質問です。
正直に言うと、いまでも、専門用語もボタンも、意味はよく分かっていません。それでも仕事は進んでいます。では、私は何を頼りに「大丈夫」と判断しているのか。その日、自分に問い直してみました。
意味が分かっても、怖さは消えない
最初は、言葉の意味を調べれば安心できるのだと思っていました。
でも、違いました。たとえば「+2 -1」の意味を教わっても——緑は増えた行数、赤は消えた行数、つまり変更の量の目印——不安は消えきりません。本当に知りたかったのは、意味ではなかったからです。
本当に知りたかったのは、これでした。
「これをやって、壊れないか。戻せるか。」
意味より先に、確かめる二つのこと
だから、いまの私は、分からない言葉やボタンが出たら、意味より先に、二つだけ確かめます。
一つ。それは「読むだけ」か、「書き換える」か。
「読むだけ」なら、何をどう使っても壊れません。たとえば「Grep」は、大量の紙の中から「この言葉が入った行」だけを探してくれる、虫めがねのような道具でした。読むだけ。だから、壊れない。名前がどれだけ強そうでも、正体が虫めがねなら、怖がる理由がありません。
二つ。失敗しても、戻せるか。
私の棚のファイルは、保存のたびに「戻れる場所」が増えていきます(画面に「コミット」と出た日の記事で書きました)。保存したところまでは、いつでも戻れる。だから、「書き換える」操作でも、戻せるのなら、落ち着いていられます。
この二つを先に確かめると、恐怖の半分は消えました。意味は、あとからゆっくり知ればいいのです。
押さなくていいボタンも、ある
「PR作成」というボタンの正体も、聞いてみました。
答えは、「押さなくていい」でした。PR(プルリクエスト)は、複数人でひとつの棚を使うときの回覧板——「この変更、みんなに見てもらってから反映していい?」と回す仕組みだそうです。私の棚は、私一人とAIで使っています。回覧する相手が、いません。それに、保存の作業そのものは、AIが済ませてくれています。私は、ボタンを押す係ではありませんでした。
ボタンは、押すまで、何も起きません。見えているだけなら、無害です。押さないことは、サボりでも、間違いでもありませんでした。
確認の窓は、味方
もう一つ、その日に覚え直したことがあります。
作業の途中で、「これ、やっていい?」という確認の窓が、何度か出ました。私は長いあいだ、この窓が出ると「エラーが出た」「怒られた」と感じて、固まっていました。
実際は、逆でした。窓が出るのは、勝手に進まないための一時停止。 安全装置が働いた証拠です。焦って押さず、読んでから決めればいい。分からなければ、「拒否」で止めて、聞けばいい。
ただし、一つ線引きがあります。窓が守ってくれるのは、主に「消す」操作です。「送る・公開する」は、窓ではなく、AIが勝手にやらない約束と、最後の人間の確認で守ります。窓が出ないから安全、ではありません。
立ち止まれることが、力
その日、私がしたことを振り返ると、大したことはしていません。
分からない言葉の前で手を止めて、「これ、読むだけ? 戻せる?」と聞いた。迷ったボタンは、押さずにおいた。それだけです。
でも、その「それだけ」が、どうやら要でした。
怖さは、消さなくていい。あれは、私の側についている、安全装置です。
