これは、読むだけで大丈夫な回です。少し進んだ話——法律で義務づけられた記録を、AIとどう回すか、という話をします。
義務の帳簿がある
ドローンには、飛行日誌という帳簿があります。飛び方によっては法律で記帳が義務づけられるもので、様式も決まっています。いつ・どこで・誰が・何分飛んだか。飛行前の点検。整備の記録。
正直に言うと、この帳簿がいちばん怖かったのです。手書きの帳面や表計算でやると、現地で疲れて帰った日に、まず書きません。面倒な義務は、後回しになる。義務の後回しは、法令違反になる。 だから、面倒のほうを削ることにしました。
私がやるのは、話すだけ
検品の記事の一日で作った仕組みは、こうです。飛んだ日に、私がやるのはどちらか一つ。
- 話す:「きのう◯◯で、いつもの中型機。9時10分から18分と14分の2本。異常なし」——これだけ。
- スクショを貼る:ドローンのアプリに残っている飛行データの画面を、チャットに1枚貼るだけ。
あとはAIが、決まった様式に書き起こして記帳します。「異常なし」の一言があれば、同じ日の点検記録の行も定型で入ります。日付や操縦者など足りない項目があれば、AIが1回だけ、まとめて聞いてきます。何度も往復しません。
この帳簿が、少し特別な理由
記帳先は、いつもの母艦の中のファイルです。ここに一つ、思わぬ利点がありました。
画面に「コミット」と出た日の記事で書いたとおり、私の棚は保存のたびに履歴が残ります。つまりこの帳簿は、「いつ・何を書いたか」の記録が自動で付く帳簿なのです。後から直しても、直す前の中身が履歴に残っている。義務の記録として、これは強いことでした。
現地では、スマホから読めます(外からでも動かすの仕組み)。実機でも確かめました——一度、画面が空っぽに見えて焦りましたが、引っ張って更新したら出てきました。紙で要るなら、A4のPDFにもできます。これも実演済みです。
どの飛行を記帳するか、が急所だった
一つ、白状しておきます。この仕組みで一番危なかったのは、様式でも保存先でもなく、「どの飛行を記帳するか」の線引きでした。
私たちは最初、その定義を1行、狭く書き間違えていました。そのままなら、記帳すべき飛行が漏れる——検品がそこを捕まえてくれた話は、検品の記事に書いたとおりです。義務の仕組みを作るときは、入れ物より先に、「何が義務か」の一行を確かめる。
まだ、一件も書いていない
正直に書きます。この帳簿に、本番の記帳はまだ一件もありません。今あるのは、仕組みを確かめるための見本の一行だけで、最初の本番記帳のときに消す約束です。
それでも、置き場と手順はもうできています。次の飛行から、この帳簿は「話すだけ」で動き始めます。
続く形にしてはじめて、義務は守れる。 記録係は、AIに任せました。守る責任のほうは、任せていません。
