これは、読むだけで大丈夫な回です。AIに法律のことを聞くときの、私の決め事の話をします。
知っているようで、持っていない
AIに法律のことを聞くと、たいてい、それらしい答えが返ってきます。実際、大筋は合っていることが多いのです。
でも、ドローンの仕組みづくりで法令のきわどい所を扱ううちに、はっきり分かったことがあります。AIは法律を「知っているようで、条文そのものを持っていない」。 大筋は語れるのに、「その義務は条文のどの区分から来るのか」という細かい話になると、記憶で答える——つまり、推測が混ざるのです。
法令で推測は、使えません。検品の記事で書いたとおり、1行の間違いが法令違反に直結する世界だからです。
図書館に、条文を入れた
そこで使ったのが、出典つきで答える図書館の記事で書いた道具(NotebookLM)です。あの記事では「AIの嘘に効く」と書きました。今回は、それを法律に使いました。
やったことは、二つです。
一つ。ドローンの法規の一次資料——国の公式資料や条文——を、図書館に入れました。足りない資料は、AIに「何が足りないか」を洗い出させて、公式のものを集めて追加しました。
二つ。入れてから、検証しました。「この飛び方の義務は、条文のどの区分に当たるか」という細かい質問をぶつけて、出典つきで即答できることを確かめたのです。答えの横に「どの資料の、どこに書いてあるか」が付いてくる。推測ではなく、出典を添えて答えさせる形です。
書く係・調べる係・検める係
これで、私のまわりのAIは三つの係に分かれました。
- 書く係(いつもの相棒):仕組みや書類を作る。
- 調べる係(図書館):法令の根拠を、出典つきで出す。書く係が法令に迷ったら、必ずここで裏取りする。
- 検める係(検品役):できあがった物を、最後に別の目で検品する。
書く係が一人で全部やると、推測が混ざります。係を分けたら、どの答えがどこまで確かか、が見分けられるようになりました。
それでも、最後の印は残す
ただし、これで法令が全部確定するわけではありません。
図書館が答えられるのは、入れた資料の範囲まで。現地のローカルルールや、窓口ごとの運用は、資料に載っていません。だから私の書類には、最後まで「要確認」の印が残ります。断定できない所は断定しないで、電話や原本で確かめるまで、印のまま置いておく。
AIに法律を推測させない、というのは、AIを信用しないことではありません。根拠の置き場を先に作ってから、聞く——それだけのことでした。
