これは、読むだけで大丈夫な回です。前の記事の続きで、動画の話から始まりますが、途中から「何を先に作るか」という順番の話——動画をやらない方にも関わる話——になります。
値上がりの前に
前の記事で書いた動画づくりでは、台本を、いちばん正確なAI(使い分けの記事で書いた検証役)に頼んでいます。セリフの自然さは、台本で決まるからです。
その正確なAIの料金が、月ぎめの定額から、使った分だけ支払う方式(従量)に変わっていくかもしれない——そんな話が出てきました。確定ではありません。でも、料金の記事で書いた月ぎめプランなら、上限までは何度頼んでも同じ。従量になれば、頼むほどかかります。
つまり、たくさん書いてもらうなら、いまのうちなのです。
動画の「芯」は、どこか
そこで、考えました。動画は、分解すると四つの材料でできています。台本、声、絵、そして組み立て。全部を先に作っておくことは、できません(持ち点も、時間も足りません)。先に作るなら、どれか。
答えは、はっきりしていました。台本です。
理由は二つ。一つ、いちばん正確なAIに任せたいのは、台本だけだということ。声も絵も組み立ても、別のAIや別の道具で、後からいくらでも作れます。二つ、台本はただのテキストなので、どのAIが読んでも使えて、古くならないこと。映像のAIはめまぐるしく様変わりしますが、「何を話すか」が書いてある紙は、様変わりしません。
作品の芯は、台本でした。映像にすること——実行——は、後からどうにでもなる。
一日で、48話分
方針が決まった日のうちに、頼みました。「現状の時点で、書けるだけ書いて」。
この連載の記事1本を、アニメ1話にしていく計画です。その残り全部——48話分の台本が、その日のうちに揃いました。1話ずつファイルに分け、SNSに載せるときの説明文まで、載せ先ごとに付けて。
動画になるのは、これから何か月も先の分まであります。でも、芯はもう手元にある。値上がりが来ても、映像のAIが様変わりしても、48話分の「何を話すか」は、減りも古びもしません。
動画をやらなくても、同じ
この「芯だけ先に」は、動画に限らない話だと思っています。
たとえば、文章の連載なら、芯は骨子と本文で、見た目を整えるのは実行。お客様への提案なら、芯は「何を提案するか」の中身で、きれいな資料に仕上げるのは実行。芯はテキストで、実行は形——そう分けてみると、たいてい、芯のほうが小さくて、軽いのです。テキストは、作るのも、直すのも、持ち運ぶのも、いちばん身軽な材料です。
AIと何かを作るとき、私はつい、完成形(動画や資料)を1個ずつ仕上げたくなります。でもこの日は、順番を変えました。軽い芯を先に全部、重い実行は後から一つずつ。
備えは、順番だった
作り溜めというと、量の話に聞こえます。でも、48話分の動画を作り溜めることは、できませんでした。できたのは、48話分の台本だけ。それで、足りていました。
備えとは、たくさん持つことではなく、先に作るものを、間違えないことでした。
