これは、読むだけで大丈夫な回です。動画を作る記事の、その後の話——同じ動画づくりが、二度目にどれだけ速くなったか、という実測の話をします。
1本目は、丸一日かかった
いま、この連載の内容を、1分半ほどの短いアニメ動画にする試みを始めています。二人のキャラクターがカフェで話す、声と字幕つきのアニメです。絵も、動きも、声も、AIが作ります。私は、何を話すかを決めて、できたものを確かめる役です。
その1本目は、丸一日かかりました。台本を直し、絵を作り直し、声を整え直し——12個目の版で、ようやく完成しました。正直、「これを何十本も続けるのは、無理かもしれない」と思いました。
手順を、書き残した
ただ、1本目を作り終えたとき、一つだけやっておいたことがあります。うまくいった手順を、順番どおりに書き残したのです。どの順で作るか。どこで間違えやすいか。何を確かめてから、次へ進むか。
プロンプトを資産にする記事で書いた考え方と、同じです。うまくいった頼み方は、使い捨てにせず、次のために残す。動画のような工程の多い仕事では、頼み方だけでなく、工程の順番ごと残す。これを、この記事では「型」と呼びます。
2本目は、58分だった
型に沿って作った2本目は、58分で完成しました。丸一日が、1時間弱です。
かかった費用も、書いておきます。動画のAIは、月ぎめのプランの中で「クレジット」という持ち点を使って動きます(作るたびに減っていき、月ごとに補充される仕組みです)。2本目に使ったのは、600クレジットでした。動画に使ったカット(場面の一区切り)は12個、生成したのは作り直しの分を含めて20個です。
途中で、事故も起きた
58分の中には、失敗も含まれています。
このアニメには二人が出てくるのですが、できあがった12カットの全部に、二人が映っていたのです。一人だけを大きく映すはずのカットにも、二人。原因を調べると、絵を頼むときの「参照」(この絵に似せて、と渡すお手本の絵)に、いつも二人ぶんを渡していたことでした。一人を映すカットには、その人のお手本だけを渡す。それだけのことに、作ってみるまで気づきませんでした。
8カットを作り直しました。600クレジットのうち、およそ230は、この作り直しの分です。
失敗を、型に書き足す
ここからが、この回でいちばん書きたかったことです。
作り直しが終わったあと、この失敗と対策を、型に書き足しました。次に作るときは、同じ失敗をしない。実際、次からは1本あたり、およそ370クレジットで済む見込みです。
失敗は、型に書き足したときだけ、資産になります。書き足さなければ、同じ授業料を毎回払うことになる。1本目の丸一日も、この日の230クレジットも、型に残したので、二度は払いません。
同じ条件で、測った
もう一つ、細かいことですが、やってよかったことを。
2本目は、わざと1本目と同じ舞台・同じ作り方で作りました。新しい場面や演出を試したくなるのをこらえて、それは3本目以降に回したのです。混ぜてしまうと、58分という速さが「型のおかげ」なのか「たまたま」なのか、分からなくなるからです。
変えたいことは、1本につき一つ。測りたいことがあるときは、条件をそろえる。AIとの仕事は数字が細かく残るので、こういう測り方が、素人の私にもできました。
丸一日は、無駄ではなかった
1本目の丸一日と、2本目の58分。差を作ったのは、腕前ではなく、あいだに挟んだ「書き残す」という一手間でした。
1本目の遅さは、型を残した瞬間に、授業料に変わりました。あの丸一日が、いまの58分を作ったのだと思います。
