これは、読むだけで大丈夫な回です。もし手を動かすとしても、10分×2件だけ。その理由を、これから書きます。
点検のボタンを、押した
パスワードの金庫の記事で、覚えるのをやめて、金庫(1Password)を一つ決めた話を書きました。金庫を入れて、四日後。その金庫に付いている「Watchtower(ウォッチタワー)」——見張り塔という名前の、点検機能を開いてみました。
結果を、そのまま書きます。
- 総合スコア:356点、「弱い」
- 再利用されたパスワード(複数のサイトで使い回しているもの):464件
- 弱いパスワード:92件
- 2要素認証(=2段階認証。ログインを二重にする仕組み)が使えるのに未設定:72件
464件。数字を見て、正直、心が折れそうになりました。金庫に移した653件のうち、7割が使い回しだったのです。
全部直すのは、大変なんですよ
そのとき私がAIに言った言葉が、そのまま残っています。「いい結果でなくて、でも全部直すのは大変なんですよ」。
これは、弱音ではなく、実感です。464件を全部直そうとしたら、何日かかるか分かりません。そして途中で嫌になって、点検のページごと、二度と開かなくなる。完璧に直そうとすることが、いちばん危ない。 直せない量を前にして、放置が始まるからです。
だから、この日、決めました。全部は、直さない。
鍵の重さで、三つだけ選ぶ
代わりに、こう考えました。泥棒に入られて、いちばん困る順に守る。
一つ目。母鍵(おやかぎ)——メールです。なぜ最初がメールかというと、ほとんどのサイトのパスワードは、「忘れた場合」にメールで再発行できるからです。つまりメールが破られると、他の全部が芋づるで再発行されてしまう。メールは、すべての鍵を作り直せる、母親のような鍵なのです。
二つ目。お金。銀行・カード・決済。実害が出る場所です。
三つ目。仕事の根幹。サイトのサーバーなど、仕事が人質になる場所です。
この三種類に入らないものは、この日は触らない。そう決めると、気持ちが軽くなりました。
実際にやったこと(約20分)
まず、母鍵。Googleアカウントを確かめると——2段階認証が、既に設定されていました。いつかの自分が、掛けておいてくれた鍵です。過去の自分に助けられました。確認だけで、終わり。
次に、お金。再利用リストの中からお金が動くサイトを1件選んで、パスワードを替えました。新しいパスワードは、自分では考えません。金庫に作らせて、金庫に覚えさせる。私はその文字列を、覚えてもいません。
この日は、それで店じまい。約20分でした。
一つ、良い知らせも書いておきます。点検結果に「侵害されたWebサイト」——つまり実際に漏えいが確認されたパスワード——の警告は、出ていませんでした。だから残りは「急ぎ」ではなく、「順に」でいいのです。
AIに、見せない場所
ところで、この作業でAIは、金庫の中身を一切見ていません。
いつもは何でもAIと一緒にやりますが、パスワードの金庫だけは、別です。操作は全部、私の手でやり、AIには「464件だった」「1件替えた」と、数字だけを報告しました。AIはその数字を見て、順番を一緒に考えてくれました。それで十分でした。
何でも繋ぐのではなく、AIに見せない場所を決めておく。金庫は、その筆頭です。
464は、順番待ちの数
残った463件は、月に3件ずつ、直していくことにしました。
464は、危険の数ではありませんでした。順番待ちの数です。並んでいる順番は、鍵の重さで、もう決めてあります。
