この回は、作るのをやめた話です。
10月14日のことです。Claude Code で、ドローンの飛行計画を1冊に仕上げる Web アプリを作りました。Codex という別の AI の点検を3回くぐらせ、そのたびに手を入れています。それなのに、自分で触ったその日のうちに、お蔵入りにしました。
失敗の話ではありますが、ここから取り出せた手順があります。AI に道具を作らせる前に、一度だけ「手間がどちらに残るか」を比べる手順です。私と同じところで時間を使わないように、順番に書きます。
作ったものと、やめた理由
作ったアプリは、9つの画面でできていました。地図で飛ばす範囲を囲み、航空法の根拠、場所の管理者への問い合わせ先、当日の段取りを書き込むと、印刷できる計画書になります。
壊れにくさは、点検のたびに上がりました。それでも、触った瞬間に分かりました。ふだんの作り方と比べて、手を動かす量が増えていたのです。
いつもの作り方では、私は撮りたい場所の名前を伝えるだけです。相手は、飛行計画づくりの決まりごとを覚えさせた Claude Code です。場所の種類を調べ、話を通す窓口と電話番号を探し、電話の台本を書くところまで、AI が受け持ってくれます。アプリのほうは、その同じ項目が、私が埋める入力欄として並んでいただけでした。
比べるときに見るのは、作業の「持ち主」
並べてみると、違いは一点でした。

- 場所がどんな土地かを調べる……いつもは AI/アプリでは自分
- 窓口と電話番号を探す……いつもは AI/アプリでは自分
- 電話で話す台本を作る……いつもは AI/アプリには無い
- 最後に決めて、電話をかける……どちらも自分
アプリは、仕事を減らしたのではなく、AI が持っていた仕事を私に戻していました。画面がきれいでも、入力欄が増えるほど、使う人の持ち物は増えます。
作る前の3つの手順
次に何かを作りたくなったときは、手を動かす前に、この3つを通します。
1つめは、いまのやり方を書き出すことです。段取りを上から順に一行ずつ並べ、AI に頼んでいる行には「AI」、自分の手でしている行には「自分」と書き添えます。
2つめは、作ろうとしている道具で同じ仕事をしたら、それぞれの行の持ち主がどう変わるかを書くことです。「AI」だった行が「自分」に変わるなら、そこに印を付けます。
3つめは、印の付いた行の重さと、道具で減る手間とを並べることです。印刷できる、一か所にまとまる、といった良さもあります。それでも、調べ物のように時間のかかる行が自分に戻るなら、作るのはやめて、いまの頼み方のほうを磨きます。
Claude Code にそのまま頼める一文
作る前に送る一文は、たとえばこうです。
「作り始める前に、いまの私のやり方と、作ろうとしている道具とで、作業の持ち主(AI か私か)を一行ずつ表にしてください。私に戻る作業があれば、印を付けてください」
いまのやり方の記録がフォルダに残っていれば、Claude Code はそれを読んで表にできます。表を見て、印の行が軽ければ作る。重ければ作らない。決めるのは自分です。
点検と、触って確かめることは分けておく
もう一つ、分けておくとよいことがあります。
点検が見るのは、壊れる所です。Codex の指摘は3回とも的を射ていて、入力が外に届いてしまう穴や、前の内容が混ざる穴を見つけてくれました。ただ、今回の点検では、ふだんより楽になるかは確かめていませんでした。
なので、試作ができたら、点検より先に一度触ります。それも、いつもの仕事と同じ題材で触ります。今回なら、次に飛ばす予定の実際の場所で、計画書を作ってみる。そこで面倒だと感じたら、点検に回す前に止められます。
やめたアプリも消してはいません。次に同じ案が浮かんだときの、比べる相手になります。
【note実践版へ】
この回のnote版では、点検に通るたびに積もっていった安心と、触った一言でそれがほどけたときのことを、手順を抜きにして書いています。
